詩歌の可能性をば。∞(113)詩「かなぐり‐もぎり」

本当なら発表したくなかったですが、


まぁね、


さっきまでのツイートを時系列に転載して


非公開の方針を覆す決心をしたことの説明に代えさせて頂きます。


「村上春樹さん、あなたの朝日新聞への寄稿を拝読しました。ありがたく保存させて頂きます。この事態への答えはすでにあなた自身の素晴らしい文章の中に示されています。「また実務的に解決可能な案件でなくてはならないと考えている」。ですから静観しております。」

「あなたの寄稿が全文中韓に翻訳されてメディアに掲載するといいですね。魂が行き来する道筋を塞いでしまってはならない、ということに賛成です。決して楽観しておりませんが、万が一の場合でも魂の行き来する道筋がけっして途絶えることはないと見ております。」

「カフカ的、そして中国語で「絶対村上」的状況に暴力的に置かれた経験からもの申していますからね。自作詩から引用します。/発火点は往き道を知っても帰り道を知らず/焼け野原はゆくゆくは田畑とならんか/だといいけどね 焔(ほむら)が行く先を誤てずば/」

「在日中国人たちの「これは政治家の仕事だ」という声が嬉しいです。ですからどんな事態になろうとも政治家たちの責任に帰するべきで、国境を越えて魂の道筋を知った日中韓の民のほうこそ一番冷静に見守っているもの、と信じております。政治家の誤算こそは拍手喝采!」

「そうだねぇ。先頃言ったように自分でも忘れた言葉はタイムカプセルの宝庫で、未来さえ予言する。非公開の方針を覆して、ブログに2年前の詩稿を発表させて頂きましょう。」


(0^0^0)


これがおれっちの妄想だと笑いながしてちょね。


てっきりおたがいに無視し合っているものと思ってたけど、


だっはは‥


おれは村上春樹さんの才能を見抜いて


1987年刊行「ノルウェイの森」までの長編小説をすべて


愛読していたんですよ。


「本物だ」と周囲に薦めてたくらいでした。


でも「ノルウェイの森」が大ベストセラーになったときにね、


カルト的人気だったのが今では「国民的支持」と言われちゃってるが、


ああ驚異的に売れちゃって、


支持?‥いや、当時を知る生き証人として、


拒絶反応の方が大きかったんだったです。


おれの知る本好きでもその方が実に多くて、


おれ自身が口が酸っぱくなるくらい擁護して回ったもんでした。


‥なんてか、拒絶反応の大きさが壁に感じられて、


さすがに村上春樹さんの名を口にしなくなったのです。


同時平行して


おれ自身の芸術、文学構築に忙しいので、


村上春樹さんの本から遠ざかったのでした。


(もっともめぼしい本を買って積読してありますがね)


最新作「1Q84」がベストセラーになったですね。


村上春樹が好き!と言ってくれる読者を見るにつけ、


はたしてかつての拒絶反応をちゃんと反省して村上春樹さんの良さを


どこまで分かっていらっしゃるかな、と簡単に信用しないことにしています。


ですから「1Q84」を読まなかったのです、


申し訳ありませんが。


ただまさかここまで世界的人気と名声を博しようとはゆめゆめ思わなかったのでした、


へぇー、へぇー。


びっくらしたァー、というんが正直。


相変わらずよいものを書き続けていらっしゃいます、


何より嬉しいことです。


村上春樹さん、「ノルウェイの森」以後の長編小説を読みたいのがやまやまですが、


すまない!時間が足りなくて。


いずれゆっくりと読みたいのです。




(*^_^*)



前置きが長くなってしまいましたが。


あ、ツイートで2年前の詩稿とつぶやきましたが、


だっははっ。。


執筆日時を確認しますと、


さらに1年も遡って、


2009年9月23日に推敲して書いた詩稿でした。


はい、


本作を掲載さしていただきましょう。



☆彡





かなぐり‐もぎり



小心者でも何かを捨てるには
いくばくかの
勇気がいることだ‥ と大上段に
かまえた話だ

何を捨てるか?
一分も経たないうちにきっと
思い直して ああ気づかなかった
知らない遣いみちがあったとは
後悔するかもしれない
何日先か 数ヶ月先か
耐久年数を越えた先に
人生の残滓の底いから
見つけ出して
ああ! かつては不要だったはずが
見直され まだ役に立とうとは
思うかもしれない

捨つるや
かく思ひなさなば
何をば 逡巡と決定のあいだで
途方に暮れぬれば
いっそ我が人生丸ごと捨てんと
思ひ詰めたりしか。

かなぐり捨てる
イラッとしてほんの数秒ですませられる
これを処理とすまし顔で
言い切ればどんなにか救われることか
ああこの小心者がそう思い到った意味が
未練の痕もない場所に
もぬけの殻の空虚とともに
直截な虚無感をただよわせて
そのくせサバサバとしたことか。

もぎる
何をか? 不毛な豊饒さから
もたらされた果実?
後ろ髪引かれる想いをか?
我が不実の恋(恥ずかしながら恋が破れてから
そう思い当たったんです)の半端な想いをか?
「あなたの人生はすべてフリーパスじゃないです。
通り証の半紙が必要なんです。
この通関を抜けたければ
あなたの半身に他でもありません通り証の
半紙をどうか私たちにもぎらせて下さい。
この先はあなたがどう生きようが
私たちの裁量に入りません」

おしなべて皆がそう窮屈に生きている
何かを捨てて 何かをもぎるには
チャンスの前髪をもぎとらないと?
目の前にだらりとぶら下った果実を
もぎとらないと?

誰がこの先の前途が洋々たるかを
請け合えるか?
では無我夢中で生き永らえてきた人生が
無駄だったか 誰が気休めでなく
いいえ違いますと言えるか?

我が不実の恋(恥ずかしながら恋が破れてから
そう思い当たったんです)の半端な想いをか?
「あなたの人生はすべてフリーパスじゃないです。
通り証の半紙が必要なんです。
この通関を抜けたければ
あなたの半身に他でもありません通り証の
半紙をどうか私たちにもぎらせて下さい。
この先はあなたがどう生きようが
私たちの裁量に入りません」

我が想いの一片をさだかでもなく
キャラメルの一片におさまり尽くして
ポイ捨てすればどんなに
サバサバとすることか‥
いや他人にとって無意味なこの一片は
我が人生の残余を
満たしてくれるかも知れない

すべてはさだかではない
ギリシャの哲学者が万物が流転すと
きっぱり仰せられたが
そう割り切れないのが我が想いだ

「これはぼくのキャラじゃありませんよ
だって自由意思がすべての世の中ですから
キャラ? 他人の勝手になすりつけた
もしくは なすりつけたがる性格で
全然ぼくの気持ちを無視してるんだ」

小心者でも何かを捨てるには
いくばくかの
勇気がいることだ‥ と大上段に
かまえた話だ

いったい何が特等に大切なんだよ?
こうべの天辺からおぼつかない下肢の
末端までしびれるとびっきりのフレーズが?
生活の向上? といわれても
絶対規準なる指数が欠けているんだ

我が幸せとは如何に
他人の生活と比べて幸せですか
裕福なお方の生活と比べて
身の丈に合った生活を追求するのが
せいぜいもって幸せの実体ですか

そこはかとない期待に打ち震えるよりは
ああ馬齢を重ねて
アインシュタインの相対性理論の
精緻さに及ばぬながら
いっそ我が生活の相対的な規準を
打ち建ててみようか
最後に古文に代えて

「その為にはこうべの天頂から
おぼつかなげな下肢の末端まで
充実したくば。
星宿の涯しもなきめぐりとともに
無下にまとひたれる衣服も
宝飾品もおしなべてかなぐり捨てて
ぬばたまの髪も引かれる想いをば
もぎりて 捨てつれば

我が身ひとつ襤褸(らんる)のほかに
一糸まとわず
うらぶれば須(すべか)らく捨て去りし想いが
引き算にあらずして
残余の想いが貴き品へと做されればこそ
只管(ひたすら)と掛け算へとかさばりて
行きぬるらめ。
あなかくあらまほし。
捨つるはあながち消しつるにあらず
かなぐり もぎり取ることは

ひとの意思に及ばざる一歩なり」

と――

小心者が我が人生に大きな帆を開いたのだ
陸の何もかもかなぐり捨てて
大海の波のまにまに未知のものを
もぎとるために――

捨てるは破れかぶれの一歩なのだ
と――





この125行も長い詩を書いたのはね、


実は


2009年に谷川俊太郎さんの9月の詩「捨てたい」に触発されて


書いたものですが、


なんか自分でもわけが分からなくなっちまって


推敲を重ねたものです。



畏れ多くも谷川俊太郎さんの詩を転載させて貰いましょう。



捨てたい



私はネックレスを捨てたい
好きな本を捨てたい
携帯を捨てたい
お母さんと弟を捨てたい
家を捨てたい
何もかも捨てて
私は私だけになりたい

すごく寂しいだろう
心と体は捨てられないから
怖いだろう 迷うだろう
でも私はひとりで決めたい
いちばん欲しいものはなんなのか
いちばん大事なひとは誰なのか
一番星のような気持ちで




ありがとう、谷川俊太郎さん、村上春樹さん。



(*^_^*)




画像




とっておきの詩 (とっておきのどうわ)
PHP研究所
村上 しいこ

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by とっておきの詩 (とっておきのどうわ) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

風の歌を聴け (講談社文庫)
講談社
村上 春樹

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 風の歌を聴け (講談社文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

村上ソングズ (村上春樹翻訳ライブラリー)
中央公論新社
村上 春樹

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 村上ソングズ (村上春樹翻訳ライブラリー) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル




村上春樹 雑文集
新潮社
村上 春樹

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 村上春樹 雑文集 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
新潮社
村上 春樹

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 海辺のカフカ (上) (新潮文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3
マガジンハウス
村上 春樹

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

"詩歌の可能性をば。∞(113)詩「かなぐり‐もぎり」" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント