唐井誠二の「コルヌコピアエ(豊穣角)」

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zoom RSS 短篇小説「放射能ゴキブリvs.行動派の益虫たち」(6)大団円

<<   作成日時 : 2013/06/21 17:11   >>

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 「おい? 大丈夫か」
「平気だよ、こんな重たい着ぐるみが役立ったな‥」
と数日くらいの大混乱が続いた後、宙吊りにされた任務でコッオーたちの生息地に向かって出発準備していたきり身を伏せっていたジューノーとロメーキョ少佐がおたがいの無事を確認して呼応し合った。
 凄まじかった、としか形容のしようがないばかりだった、これまでの風景が引っくり返され、昆虫だけでなく、先ドレッブも後ドレッブも、全昆虫類の上位に君臨する生物たちも激甚たる被害をこうむり、歩けば死屍累々たる、名状しがたい死の世界が、助かった二匹の目前にも繰り広げられていた。気候も大荒れに荒れて、嵐、竜巻、暑熱、寒冷、ふだんの季節サイクルがまるで存在しなかったかのように沈静する目途がつかず、何週間も周期が狂って、地上に災害をもたらす災禍を絶えず降らせてきた。餌の蓄えで飢えをしのぎながら、生き延びた昆虫たちがおのおのの避難所で脅えていたりあるいは争い合ったりしながら、ただ延命するために身をやつしてきた。
 一ヶ月もしてから―― 時間としてはなるほど、ほんの一ヶ月なのであるのが間違いないのだが、もう、という過去形とまだ、という現在進行形のはざまで日々が灰色に塗りつぶされ、数ヶ月分の時間が疾風怒濤のごとく過ぎ去った感じで空恐ろしく濃縮されて、さらには夥しい生死の前で誰しも何年分も老けこんでしまったかに思えてならなかった。ようやくにして、助かった昆虫たちが日常生活のペースを取り戻しつつあり、そしてジューノーとロメーキョ少佐が宙ぶらりんのままになってきた任務を再開しなくてはならなかった。誰かが言い出すまでもなく、誰もすでに腹の中で承知しているように、もちろん恐怖心をまじえて黙りこくったまま、この大異変でコッオー包囲網がズタズタに寸断されて、いわば堤防が決壊して放射能の洪水がひしひしと近くに押し迫ってくる事態を、憂慮しているからなのだ。



【2013年7月22日(月)後記】

十分に供覧する期間が過ぎましたので、冒頭の部分をのぞいて全文を削除させていただきました。
ご愛読ありがとうございました。

望外に嬉しいことですが、
前回の最後と、また今回の冒頭の部分に描写した、コッオー(放射能ゴキブリ)絶滅の引き金になった
銀河系外に発する流星群が地球に最接近する現象、
超高エネルギーの放射線である宇宙線の地上への飛来、気候の狂いなどに
あのJAXAの名誉教授でいらっしゃる的川泰宣さんが
次のような新聞記事の科学コラムでインタビューに応じて、まさしくお墨付きを与えてくださったのです。


2013年7月13日(土)朝日新聞夕刊
「宇宙がっこう 太陽の移動速度は?」


「ところが、このたび地球周回軌道にいる太陽圏観測衛星「IBEX」が、太陽系の一番外にやってくる星間物質の
スピードを測った結果、太陽は時速約8万3700キロで移動していることが確認されました。‥(中略)‥ということは、太陽圏の防御は予想よりも堅固で、外から進入してくる高エネルギーの宇宙線をきちんと跳ね返していることになります。まだはっきりと結論が出ていませんが、他の惑星に生命が存在する可能性の試算への影響や、
地球の気候に大きな影響を与えている可能性を指摘する科学者もいます。進化や絶滅の歴史にどう関係するのか、注目したいですね。」


本当にびっくりしました。
なんせ約3億年前の地球古生代の物語ですから、
一生懸命最新科学の知見などを集めて、おれなりに想像力を奮って、「ありえない、一見荒唐無稽な話」に
リアリティを持たせようとして頑張ってきた苦労が、
なんか、最新科学の第一線に立っていらっしゃる科学者からのご褒美を与えられたみたいで、
嬉しさこの上ないことです。
本当にありがとうございました。




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