詩歌の可能性をば。∞(67)詩「怖い隣人」公開

毎週火曜日の詩歌添削人の仕事は、佳句ぞろいの作品に


文句なし!と


休ませて頂きました。


その代わりに


悲しい不幸ですがね、


ほら現在進行中の原発事故をどー受けとめればいいか、


自分なりに一夜漬けの猛勉強を重ねてきてね、


チンプンカンな原子力村の専門用語などを消化し、


今起こりつつある事態を


とってもイヤなことだけれど


どんな詩に詠めばいいか考え続けまして、


ついさっきまで詩作してきました。


なんとか出来上がりましたね‥


(0^0^0)


なんだって原発事故収束のメドがつかないのに


けしからん!!!


というご非難を甘んじてお受けします。


ともあれおらなりの問題提起として


受け取って下されば


この上なくあんがたいことですよ。


(0^0^0)





怖い隣人



地球が人類出現に何十億年も
さきがけてすでに知っていた
行きがかり上星の誕生で
孕んだものが いつの日にか
掘り起こされるだろうことを

夢のエネルギーと謳って
天然鉱石から抽出され0・7%と
僅少でも濃縮すると1000℃単位の
熱を放つ仕組みを いつの日にか
知って悩ましい廃棄物に苦労するだろうことを

水に減速されるのと一瞬で加速されるのとで
使途が不明朗になりがちなのだけれど
分裂増殖する間にさまざまな元素が
飛び出し 水が育んできたものを
有毒性で蝕む生成過程も元素の半減期も
人類出現以前から地球にとっては
経験ずみのことだった 何故なら

地形と度重なる偶然で何十億年後に
人類が人工的に作り出すことになる炉心が
アフリカのあるところで天然的に形成され(*)
地球が被曝していたからなのだ
何十万年も放熱が続き 
酸素の濃度が変化したか 
その炉心がようやく停止したが
何万年も地球の被曝がなお続いていた

生成過程も元素の半減期も終った頃
人類が出現し またたくまに因果なものを
見つけて同じ悩みを背負うことになった
寿命がたかだか百年なのに
地球の記憶をなぞらえるかのように
巨大技術の粋をこらして炉心を作って
赤ん坊から成人後十年に到ってやっと半減期を迎える
元素から放たれる放射線を管理しようと
躍起になってきた 何光年単位で生きている地球の
大きさをまるで何兆分の一、さらに一万倍の何京分の一に
矮小化したがって まるで命運を握りでもしたかのように
自信がついてきた人類は
地球の被曝をふたたび経験せざるを得ない羽目になった

科学者たちは地球の記憶を解き明かさんとして
物理学を日進月歩で巨大化させてきたのにも拘わらず
人類のほうは成長が止まったままで
地球の被曝体験を受けとめるのがどだい無理だった

時間的にはその場しのぎを重ねに重ねていくのが精一杯
空間的には拡散と希釈に気安めをしたがるのが精一杯
もし何十億年前にも地球が天然炉心のせいで被曝したなら
いまこのとき地球上でも先進国と傲りたかぶって
「痴れもの」どもで沸きかえったある国が
大失態を犯したのを見て 地球は怖らくこう言うだろう
「知れたことよ すでに何十億年前に想定ずみじゃ」と

そういう悠久な単位にとんと無縁である人類は
星の誕生で孕んだものに手を伸ばしたばかりに
後始末の巨大さに追われて こうも妙な合言葉をあみだした
詐欺にひっかからないように 「甘い顔に騙されるな」
放射能にひっかからないように 「きれいな空気や水に騙されるな」

科学過信が怖い隣人を生み出したが
地球の記憶を解き明かそうと頑張りぬいてきた人類は
真正面から地球の被曝体験を受けとめて
怖い隣人とどう付き合っていくかを真剣に考え始めた
みずから地球の記憶と被曝体験を
生活実感と折り合いをつけながら 数値と単位の桁違い抜きに
怖い隣人は何数十世代も経って穏やかな隣人になっていくだろう
昔ながらの子孫代々にわたっての遺産さえもかすれるだろう
地球のつぶやき「「知れたことよ すでに何十億年前に想定ずみじゃ」の
前にあっては

そして人類はこうつぶやくだろう
「わしらの智恵が足りなかった 地球の大きさの前では」



     *オクロ天然原子炉(20億年前に形成された)




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