詩歌の可能性をば。∞(9)

やれやれ‥おれの娘?(あるいは息子)ほどの年代の詩人の面倒を見なきゃなんないなんて。


(-ε-)



魔の火曜日の辻斬りなんですが、


おれ自身にとっても身につまされる言葉のむずかしさ、


ひらめいたイメージを伝えようとするあまり


うっかりとトートロジー(tautology)に陥っちまうこと。


(-ε-)




その小難しい言葉の説明は広辞苑第四版(1991年11月15日発行)を見ましょう、


トートロギー【tautology】

同語反復の意。記号論理学また命題論理学ではウィトゲンシュタイン以後普及した概念で、ある命題がその要素的部分命題の真偽いかんにかかわらず真と解釈される時、その恒真性をいう。


(-ε-)



実際の原作を見ましょうね。





遠送



        暁方ミセイ




揺れている炎は受話器の再現、
光割れ‥‥‥‥おとなしい午後を待ち、
渡っていく会話は全て閉じられていた
鳥が撃たれて、空を突き進んでいる
そんなに海が恋しいか エターナル
足が折れてしまわないよう翼がほしい
斜めの光、傷んでいる風景、
いまが消滅することを黙って見ていた
部屋でも、海沿いの電車でも。
    (積乱雲は眠くならない王国
(海に出る月は思い出が消えない魔法
あなたは、わたしをみて
花嫁などという
そこから先 深い闇がひろがっていて
無数のわたしを引き上げようとする、
漁火みたいなことば
ばらばらに
傲慢な朝に散らかったまま、
それだって、生きていけるはずだね。
恋しいか、
呼び返さないエターナル
     (蟹は、どこへいったろう
その、真っ白に見失った
遠浅の瀬まで ゆけ。




(0^0^0)




決して大学生の詩人の作を未熟だと決めつけるわけじゃないが、


前半部で「海」ということばが三度も繰り返されている。


後半部のイメージの伏線を張るために同語反復しているのが


お分かりいただけるでしょう。


どうしてもひらめいたイメージを造形するために


しばしば同じ語を繰り返して訴えようとしたがるため


全体のイメージがぼやけちまう陥穽もあるでしょうねぇ。



(0^0^0)




何よりもおれの心の琴線に触れた詩句


「(積乱雲は眠くならない王国


‥(中略)‥


漁火みたいなことば


ばらばらに」


という聯が今ひとつ輝きに欠けている、


全体のイメージの訴求力が弱いばかりに。


‥‥


(>ω<)




本当にもったいない!



そこでおれの借詩した一文を以下に掲げておきましょう。







遠送




       唐井誠二による借詩。




揺れている炎はさやに受話器を、
光割れ‥‥‥‥おとなしい午後を待ち、
ちりぢりに飛び乱れる会話は全て閉じ
鳥があだ撃ちにやられても飛び続ける
そんなに遙遠が恋しいか エターナル
足が折れてしまっても翼がある道理
斜めの光、傷みやまない風景、
いまが持たないことを受け流していた
部屋でも、海沿いの電車でも。
    (積乱雲は眠れない奴(ど)の王国
(海にひょっと出る月は思い出の魔法
あなたは、わたしをみて
花嫁などという
そこから後に深い闇がひろびろと開き
無数のわたしが約束されているという、
漁火みたいなことば
ばらばらに
容赦なき朝に散らかったまま、
それだって、‥‥生きてしれっとする
はずだね。恋は自明の理ではない、
呼び返さないエターナル
     (蟹はいつも横に歩くだろ
その、まっさらに消えはてた
遠浅の瀬まで ゆけばいい。




(*^_^*)




同語反復させている「海」を二度まで減らし、


恋の期待感と失望感のあいだに横たわる淵みたい、ってか、


おれなりの解釈にしたがって


ちょいちょいと改変していきながらも原作の韻律を大切に保って、


特に19行目から続く


「それだって、生きていけるはずだね。
恋しいか、
呼び返さないエターナル
       (蟹は、どこへいったろう」


といった弱い表現を


もっと大胆に


「それだって、‥‥生きてしれっとする
はずだね。恋は自明の理ではない、
呼び返さないエターナル
       (蟹はいつも横に歩くだろ」


と詠み変えときました。



(*^_^*)




作者の名誉のために断っときますが、


今ひとつの出来栄えながら


20代前半にしてはその詩を書いた力量を大いに買いたい、と思います。


ただ表現の甘さはその年頃ならではのもので


大目に見逃したいと思っていますよ、


おれの借詩はあくまでも50代にして妻子を持たない、文字通りのクソエロオヤジの


醒めた恋愛観ならではのものに過ぎません。



そこら辺の差異を斟酌されたく候ふ。




(*^_^*)



どうもごちそうさまでした‥(無礼千万ですよね、すいましぇんね、


おれの悪趣味ですもんね、他人のことばをレイプしまくるって)。




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