詩歌の可能性をば。∞(93)高校生歌人の8首を添削してみて

これまで詩歌添削人をさぼって、何人かをスルーしてきましたが、


昨日おなじみの『あるきだす言葉たち』で


高校生歌人の10首に出くわしました。


よく出来てると一読して感心させられましたけど、


ちょっと待って、と首をひねらざるを得ない気がしました。


決してケチつけるわけじゃない。


自分の歌を大切にして欲しいとさえ思ってるんだ。


でも何か今いちだな、と


おらなりに感じた8首だけを添削させて頂きました。


お気になさらずに。


あくまでも参考にとどめたほうがいいんですよ。


で、


高校生歌人なるものの全10首を


以下に掲げましょう。




夏でも秋でもない風が吹く


      立花開



工場の唸りを風が連れてくる海の見えない町の海鳴り
進路希望の紙でつくったヒコーキを部屋の隅からゴミ箱へ投ぐ
蟷螂(かまきり)や飛蝗(ばった)の潰れたこの道のいのちの数をヒトは知らない
ラッセンが以前飾られていた部屋微かに海がまだ鳴っている
踊り場に置き去りにされた落葉(らくよう)のように土にもなれずに死ぬんだ
ひだまりと猫は同義語こっくりと一つの膜に包まれる昼
その喉に朱い夕日が染みこんで毛細血管浮き出るような
ほしぼしをかき集めるごと英単語ぎっしり詰まった脳は光って
るるるるる電話の音が色水のごとく滲んだ部屋に差し込む
職員室前の廊下に溜まる影夏でも秋でもない風が吹く



(*^_^*)



ね!実力はかなりある方です。


第3首「蟷螂(かまきり)や‥」と


第7首「その喉に‥」は問題なし。として


そのままにしておきました。


では、おらなりに添削したものを


以下に。





夏秋どっちでもない風が吹く



     唐井誠二による添削。



工場の唸りを風が連れてきた海を持たない町の海鳴り
進路希望の紙でつくったヒコーキを部屋の端からゴミ箱へ投げる
蟷螂(かまきり)や飛蝗(ばった)の潰れたこの道のいのちの数をヒトは知らない
ラッセンが以前掲げてあった部屋微かに海がまだ呼んでいる
踊り場に吹きよせられた落葉(らくよう)のように土にもなれずに死ぬんだ
ひだまりと猫は同義語こっくりと羊膜の水に包まれる昼
その喉に朱い夕日が染みこんで毛細血管浮き出るような
ほしぼしをかき集めるごと英単語ぎっしり詰めた脳はコスモス
ほほほほほ着信音が色水のごとくくすんだ部屋をおどろかす
職員室前の廊下に溜まる影夏秋どっちでもない風が吹く




特に第9首「るるるるる‥」は


ちょっとオノマトプ(擬音語)の扱いは陳腐なので、


敢えて「ほほほほほ‥」に変えて、


「滲んだ」→「くすんだ」、「差し込む」→「おどろかす」などと


大胆な表現にさしかえてみました。


タイトル「夏でも秋でもない風が吹く」はよく分かりますが、


どうも散文調に落ちていはしまいか、と考えて、


字余りを百も承知のうえで


「夏秋どっちでもない風が吹く」に


変えてみたのです。


そうすれば第10首「職員室‥」の全体の調子が生きてくるはず。



(*^_^*)



いらぬお節介を焼かせて頂きました。


久し振りですね、こういう頭の体操は。


50クソエロオヤジ(すまへんが、ガキ歌人に興味がからっきしないの)の


脳味噌にいいマッサージになって。


それにしても


高校生活の最後を過ごす心情をここまでうまく詠めてらっしゃるので、


こっちにもいい刺戟になりました。


感心、感心、感謝、感謝。



(*^_^*)




画像




上掲の画像は


第4首の「ラッセンが‥」の題材になった画家ラッセンの絵画です。


www.shibayama-co-ltd.co.jp/lassen/Leap_of_Faith.jpg


上のURLから転載させて戴きました。


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