詩歌の可能性をば。∞(25)‥もっと朗読に耐えうる韻律へ。

17音(俳句)、31音(短歌)の定形律は、結構伝統が長く、


詩吟、朗読などの声が伝える技芸にもまれて鍛えられてきたためか、


聴き応えのある作品が多いんですよね。


それに比べて


いわゆる現代詩は伝統が短いだろうか、


自由口語詩の自由度が個人のコントロールに余るらしく、


全然朗読に耐えない作品ばっかし。


吉増剛造という詩朗読パフォーマンスの先駆者としても知られる先鋭的な詩人も


いますけど、


おれの詩朗読の原理は


「完成度の高い詩作品はすでにそれ自体音楽である。」ということで


ありまして、


また「詩作品は詩人の肉声のコピーにあらず。


詩人のみずから知らざる他者の


身体性そのものであって、


出来るだけ普段の話し声とは違う声で朗読するのが最善である。


韻律と表現の極限まで合致した詩作品こそは


朗読に耐えうる。」


といった朗読への自説もともに連なっています。



(-ε-)




今日のおなじみの「あるきだす言葉たち」は


あんまし高く買っていない現代詩の出番ですよね。


意地悪にもスルーしちゃお~か、と


思ってたんだけどね。



(-ε-)




 言葉の足(あな)裏(うら)       



      佐川亜紀



足のサイズがゴビ砂漠大の言葉を
アメンボが水の上に清書する

歩く言葉はどこから?
左の穂と 右の帆を交互に
舌の羽と 空の石をもとに
止める喉(のど)のふるえ
少なくなる唇のふくらみ

日本語のあなうらをみつめれば
うらうら照る陽ばかりではなく
恨み残す幾筋の赤い川
青ざめる等高線
二重母音をとがった一つ葉に
花の言葉に時代の釘
月の暦に死者の歯
もっと遡(さかのぼ)れば
知足の東風がこちこちの欲を笑い合う

枯葉の軽み 規格外の果実
さまざまな光が詰まる
この言語で さらに百年
世界の言葉の森に
たどり着けるだろうか



(-ε-)




なかなかいい詩を書いてらっしゃいますね。


おらが四歳年上の年輩ものでございますね、


‥‥でも


あんまし韻律と表現がすっきりときれいにまとまり過ぎて、


もし朗読したとしたら、


いったいどれほど多数の聴衆に伝わるか


はなはだ疑問。


それに


韓国語の翻訳もやってらっしゃるので


なかなか日本語への内省ぶりが


面白いが‥


もっと想像力の飛翔を、そして表現と韻律の大胆さを!と


言いたくなりますし、


言葉遊びの要素と仕掛けはよく分かるけれど、


ちったぁ自己完結的に過ぎやしませんかねぇ。。



(-ε-)



おっと。



すなわち、この詩の方向性が問題。


図星、タイトル「言葉の足裏(あなうら)」こそは


詩興を盛り上げるうえで最大の障壁になっちまってんだろ。


だから


おれなりに考えて、


その方向性を最大限に汲み取りながらも


もっと朗読に耐えうる韻律に


全面的に書き直してみました。



(-ε-)




 アメンボの足(あな)裏(うら)が言葉      



       唐井誠二による添削。


アメンボが水の上に書いている足が
ゴビ砂漠大の言葉 清らかな水脈

歩くたびに生む言葉はどこから?
左の帆と 右の穂先をたびごとに
空の背と 舌の触手をこもごもに
しんなりと 止まる喉のふるえ
しんしんと 細める唇のかさばり

わが日本語のあなうらをみつめれば
うらうら照る陽ばかりではなく
恨みたらたらの赤い川の幾筋
さっと青ざめる等高線
ありえぬ二重母音を一つ葉のとがりに
花の言葉に時代のくさび
月の暦に残った死者の歯
さらに遡(さかのぼ)れば
知足の東風がからからと欲を笑い合う

規格外の果実 枯葉のふわり
入り乱れる光を吸って
この言語で さらに百年
世界の言葉の森に
たどり着けるだろうか 肯




(-ε-)



結語の一字「肯」は、「こう。」と読みますが、


これさえあれば


朗読に耐えられるでしょう。


たとえ「肯定」という意味が伝わらなくっても


なんていえばいいか、


21行の掉尾を飾る、「こぉ~ッ!!」が


凄みを放っていると


思いやしませんか?



単に黙読するだけでなく、


とにかく上記のふたつの詩を


音読してごらんよ。


(-ε-)



分かるでしょう。


でもこの詩人の名誉にかけて言わせていただければ


現代詩の現状に鑑みれば


実力が備わっているほうですよ。


ただ朗読に耐えうる韻律と表現の点で


もっと再考されたし、と


老婆心から。



(-ε-)



おしまい。


あ”ぁ~、



(>ω<)




画像






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