詩歌の可能性をば。∞(11)

20代後半の俳人が素晴らしい俳句を十句詠んでいますね。


原作を以下に掲載しましょう。




雨(う)安居(あんご)
      


    中本真人




日航の鶴のマークの古団扇
タクシーを拾ふ夕立の小止みかな
独り言いへば軋みて籐寝椅子
ソーダ水干して氷に色残る
マネージャーらしき少女も日焼して
袋掛ビールケースを足場とし
尾を右に左に山女釣られけり
蜘蛛の子の転がりながら散りにけり
雨安居の寺門の衆の静寂(しじま)かな
逃げ足の蜥蜴の長き尾を引いて




語感のほうは文句のつけようがないし、なかなか味わい深いですけど、


もっと丁寧に読み直すと


ちょっとひっかかる所が散見されますね。


十句のうち五句をそのままにしながら


ひっかかった残りの五句をおれなりに詠み直してみました。





雨(う)安居(あんご)



      唐井誠二による借詩。



日航の鶴のマークの骨団扇
タクシーを拾ふ夕立の休符かな
独り言いひて軋むる籐寝椅子
ソーダ水干して氷に色なずむ
マネージャーらしき少女も日焼して
袋掛ビールケースを足場とし
尾を右に左に山女釣られけり
蜘蛛の子の散れるさまや転(うた)おっかない
雨安居の寺門の衆の静寂(しじま)かな
逃げ足の蜥蜴の長き尾を引いて



第一句「古団扇」のイメージはよく分かるけど、


諷刺性を高める(もっとも川柳とは違いますけどね)ためには


「は」行の「ふ」→「ほ」に始まる「ほね」、すなわち骨団扇という


イメージを打ち出したのです。


第二句「小止みかな」はよいけれど、


古色蒼然とした趣に傾きかねないので


「か」行の「こ」→「き」に始まる「きゅうふ」、休符かなと思い切り詠み直したのです。


後は言うに及びませんが、


ただね、第八句はこの俳人の美質が反転されて、


「~ながら~にけり」と文語表現にしてはうっかりと平板な調子になってしまったと思われるので、


あえて字余りと字足らずの間を狙って、


中句七と下句五「転がりながら散りにけり」を


中句八と下句四(「っ」という促音を一音と読むと五)「散れるさまや転(うた)おっかない」に


詠み直したわけです。


それにしても


いい句ぞろいですね。


文語と現代口語のブレンドぶりに冴えわたる才能を高く買って、


今後の進化ぶりを愉しみにしたいものです。


いい気持ちで頭の体操をさせていただきまして、


ありがとうございました。




画像






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